
食品工場やスーパー、飲食店などからは、日々さまざまな食品残渣が発生します。これらをただ廃棄するのではなく、家畜のエサとして再び活用しようという取り組みが「飼料化」です。近年は食品ロスや資源の有効活用への関心が高まり、飼料化に注目する事業者も増えてきました。
とはいえ、飼料化がどのような仕組みで成り立っているのか、また導入にあたって何に気をつければよいのかは、意外と知られていません。本記事では、食品残渣の飼料化について、基本的な考え方から仕組み、メリット、そして事業者が押さえておきたい注意点までを順を追って解説します。
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食品残渣の飼料化とは
まずは、食品残渣の飼料化がどのような取り組みなのかを整理します。飼料化の基本的な考え方と、エコフィードという言葉が広まってきた背景を見ていきましょう。
飼料化の基本的な考え方
食品残渣の飼料化とは、食品の製造や流通、調理の過程で発生した残りものを加工し、家畜用の飼料として再利用することを指します。具体的には、製造工程で出る野菜くずや、売れ残った食品、調理時に出る非可食部などが対象になります。
これまで廃棄物として処理されていたものを、栄養源として循環させる点に飼料化の特徴があります。つまり、捨てるしかなかったものに新たな価値を与え、資源として再び役立てる仕組みだといえます。
エコフィードとして注目される背景
食品残渣を活用してつくられた飼料は、一般に「エコフィード」と呼ばれています。これは環境にやさしいという意味の「エコ」と、飼料を意味する「フィード」を組み合わせた言葉です。
エコフィードが注目されるようになった背景には、いくつかの事情があります。日本は飼料原料の多くを輸入に頼っており、価格の変動や供給の不安定さが課題となってきました。こうした状況のなかで、国内で発生する食品残渣を飼料に回すことは、輸入飼料への依存を和らげる手段として期待されています。さらに、食品ロスの削減や資源の循環といった社会的な要請も、飼料化を後押しする要因になっています。
飼料化の仕組みと処理の流れ
続いて、食品残渣が飼料に変わるまでの流れを見ていきます。原料となる残渣の種類や処理方法、そのなかで乾燥が担う役割を順に確認します。
原料となる食品残渣の種類
飼料化に使われる食品残渣は、大きく次のように分けられます。
- 食品製造の副産物:醤油粕や焼酎粕、おからなど、製造の過程で生じるもの
- 売れ残った食品:パンや弁当など、販売されずに残ったもの
- 調理残渣:野菜のカットくずや非可食部など、調理の際に出るもの
- 規格外の農産物:形やサイズの基準を満たさず流通しなかったもの
これらは栄養価が高いものも多く、適切に処理すれば家畜にとって有用なエサになります。ただし、その性質は原料によってさまざまで、含まれる栄養の成分はもちろん、水分の量にも大きな差があります。こうした違いは飼料化の進めやすさに直結するため、工程は原料の特性に合わせて調整する必要があります。
飼料化の主な処理方法
食品残渣を飼料に変える方法は一つではありません。代表的なものとして、加熱して水分を飛ばし保存性を高める乾燥処理、液体の状態で発酵させて利用するリキッド発酵、そのまま家畜に与える生給与などがあります。
どの方法を選ぶかは、原料の性質や保管・運搬の条件、家畜の種類によって変わります。たとえば、水分が多く傷みやすい残渣は早めに処理する必要があり、遠方へ運ぶ場合は保存性を高めるための処理が必要になります。このように、飼料化は原料と利用先の条件を踏まえて方法を組み立てていく作業だといえます。
乾燥処理が果たす役割
飼料化の方法のなかでも、乾燥処理は広く用いられています。食品残渣は水分を多く含むものが大半で、そのままでは腐敗しやすく、長期の保存や運搬には向きません。
そこで水分を取り除くことで、保存性が高まり、品質を保ったまま扱えるようになります。また、乾燥によってかさや重量が減るため、保管スペースや運搬の負担を抑えられる点も見逃せません。こうした特性から、乾燥処理は飼料化を安定して進めるための土台として位置づけられています。
飼料化によって得られるメリット
飼料化には、廃棄物を出す側と飼料を使う側の双方に利点があります。ここでは、資源の有効活用やコスト・環境の面でのメリットを取り上げます。
廃棄物の削減と資源の有効活用
飼料化の大きな利点は、廃棄物の量を減らせることです。これまで廃棄物として処分していた食品残渣を飼料に回せば、その分だけ処分する量が少なくなり、処理にかかる手間やコストの軽減につながります。
加えて、本来は使われずに終わっていた栄養源を有効に活かせる点も重要です。食品残渣を飼料として循環させる仕組みは、限りある資源を無駄なく使うという考え方にもかなっています。
飼料コストや環境負荷の低減
畜産を営む側にとっては、エコフィードの活用が飼料費の削減につながる場合があります。輸入飼料の価格は相場の影響を受けやすく、経営の負担になりやすいためです。国内で調達できる食品残渣を飼料に取り入れることで、こうした負担をやわらげる効果が見込めます。
さらに、環境面での意義もあります。廃棄物の焼却が減れば、それにともなう環境への負荷も小さくなります。飼料化は、コストと環境の両面に働きかける取り組みだといえるでしょう。
飼料化で事業者が知っておくべき注意点
飼料化を実際に進めるには、いくつか押さえておきたい点があります。家畜の安全に直結する品質管理と、関わってくる法令や制度について解説します。
品質と安全性の管理
飼料化を進めるうえで最も重要なのが、安全性の確保です。飼料は家畜が口にするものであり、その家畜の肉や卵、乳などは最終的に人の食卓に届きます。そのため、原料に異物が混じっていたり、品質に問題があれば、家畜の健康だけでなく、畜産物を口にする消費者の安全にも影響します。
そのため、原料を受け入れる段階での確認や、製造工程での衛生管理が重要です。実際の現場では、受け入れた食品残渣に異物が混じっていないかを目視で確かめたり、品質に問題がないかをチェックする作業が重ねられています。飼料化は、こうした地道な品質管理の積み重ねによって成り立っています。
関連する法令や制度
食品残渣の飼料化には、いくつかの法令や制度が関わっています。食品関連の事業者には食品リサイクル法のもとで再生利用への取り組みが求められ、飼料そのものの安全については飼料安全法に基づくルールが定められています。
また、食品残渣を飼料の原料としてやり取りする際には、排出する側と受け入れる側の間で契約や確認を行うことが求められます。飼料化を検討する場合は、自社がどの立場にあたるのかを整理し、関係する制度の内容を事前に把握しておくことが大切です。
まとめ
食品残渣の飼料化は、廃棄するしかなかったものを家畜のエサとして循環させる取り組みです。エコフィードとして注目される背景には、輸入飼料への依存や食品ロスといった課題があり、飼料化はそれらに対する一つの解決の道筋となっています。
飼料化を進めるには、原料の性質に合わせた処理方法を選び、乾燥などの工程を適切に組み立てることが必要です。同時に、品質と安全性の管理、関連する法令への対応も欠かせません。飼料化の仕組みと注意点を正しく理解したうえで、自社に合った形での活用を検討してみてください。
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