1. HOME
  2. メディア
  3. コラム
  4. 塗料廃液の正しい処理方法とは?法律の基本と適切な廃棄フロー

塗料廃液の正しい処理方法とは?法律の基本と適切な廃棄フロー

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
塗料廃液の正しい処理方法とは?法律の基本と適切な廃棄フロー

塗料廃液には、有害な化学物質が含まれる場合があり、一般的なごみとして捨てることは法律で禁止されています。適正な手順を踏まずに水路へ流したり不法投棄したりすると、環境汚染につながるだけでなく、事業者として厳しい罰則を受けるリスクがあります。

本記事では、塗料廃液の基礎知識をはじめ、守るべき法律や適切な処理フロー、管理のポイントについてわかりやすく解説します。

 

塗料廃液の基礎知識

ここでは、塗料廃液の基本的な定義や、塗料の種類による特徴の違い、放置した場合のリスクなどを見ていきましょう。

塗料廃液とは

塗料廃液とは、塗装作業や塗料の製造工程などで発生する、不要になった液状の廃棄物を指します。具体的には、使用後に余った塗料の残りや、塗装に使用した刷毛やスプレーガンなどの工具を洗った際のすすぎ水、塗装ブースの水洗設備から排出される循環水などが挙げられます。

これらの廃液には、樹脂や顔料、各種添加剤のほか、溶剤(シンナー)などの成分が含まれています。見た目が無色透明に近い洗浄水であっても、少量の成分が溶け込んでいるため、単純な水として水路や下水道に流すことはできません。

水性塗料と溶剤系塗料の違い

塗装現場で使われる塗料は、主に「水性塗料」と「溶剤系(油性)塗料」の2つに分けられます。この性質の違いによって、発生する廃液の危険性や処理の注意点が異なります。

水性塗料は、水を希釈剤として使用しているため、比較的取り扱いやすく臭気も控えめです。しかし、水性だからといってそのまま下水道へ流してよいわけではありません。水性塗料の廃液にも合成樹脂や顔料が含まれており、そのまま排出すると水質汚濁の原因になります。

一方で、溶剤系塗料は有機溶剤(シンナーなど)を希釈剤として使用しています。そのため、可燃性と気体になりやすい揮発性があり、毒性を持つ成分が含まれているケースも少なくありません。引火や有毒ガスの発生といった危険があるため、水性塗料以上に厳重な管理が求められます。

放置や不適正処理のリスク

塗料廃液の処理を怠って長期間放置したり、不適切な方法で排出・不法投棄したりすることには大きなリスクが伴います。

例えば、揮発性の高い溶剤系塗料を放置しておくと、室内や工場内に引火性ガスが充満し、火災や爆発事故を引き起こすおそれがあります。また、有毒な成分を吸い込むことによって、作業者の健康被害につながる可能性も考慮しなければなりません。

さらに、屋外への不当な排出は、河川や土壌の汚染を引き起こします。近隣住民や環境へ悪影響を与えてしまった場合、企業の社会的信用は失われます。法令違反による改善命令や営業停止処分だけでなく、重大な損害賠償問題に発展するリスクもあるため、適正な管理が不可欠です。

塗料廃液に関わる法律と規制

ここでは、事業者が遵守すべき廃棄物処理法や水質汚濁防止法の基本ルールについて整理しておきましょう。

産業廃棄物としての分類

事業活動で発生した塗料廃液は、廃棄物処理法において「産業廃棄物」に分類されます。発生した廃液の成分や性状によって該当区分が変わるため、自社の廃液がどれに当たるかを確認しておくことが必要です。

一般的に、水性塗料の液状廃液や水洗工程の排水は「廃酸」または「廃アルカリ」、あるいは「汚泥」として扱われます。塗料に含まれる油分や固形分が多い場合は「廃油」や「廃プラスチック類」に該当することもあります。

このように複数の区分にまたがる混合物となるケースも多く、その場合は最も厳しい基準に合わせて分類・保管しなければなりません。

特別管理産業廃棄物の条件

産業廃棄物のなかでも、爆発性、毒性、感染性などがあり、人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがあるものは「特別管理産業廃棄物」に指定されます。塗料廃液も条件によっては、この指定を受けるため注意しましょう。

具体的には、有機溶剤が含まれ引火点が60度未満となる廃油は、引火性のある特別管理産業廃棄物に該当します。また、塗料の成分としてキシレンやトルエンなどの特定有害物質が一定の基準を超えて含まれる場合も同様です。

特別管理産業廃棄物に指定された場合は、通常の産業廃棄物よりも厳格な保管基準が適用され、資格を持った管理者を配置する義務が生じます。処分を委託する際も、特別管理産業廃棄物の処理許可を持った業者を選ばなければなりません。

水質汚濁防止法と排出基準

塗料廃液を処理したあとの水や、工場内の排水を河川や下水道へ流す場合は、水質汚濁防止法などの水質基準を守る必要があります。

事業場から公共用水域に排出される水は、有害物質の許容量や、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質量)、pH(水素イオン濃度)などの項目ごとに全国一律の排水基準が定められています。都道府県や市町村によっては、独自の「上乗せ基準」が設けられている地域もあります。

基準を超えた排水は、罰則の対象となるため、事業者は定期的に水質を測定し、記録・保管しておくことが義務付けられています。

塗料廃液の適切な廃棄フロー

ここでは、塗料廃液を適切に処理するための一般的な廃棄ステップについて解説します。

発生現場での分離と保管

最初に行うのは、作業現場の塗料廃液を種類ごとに分離して保管することです。水性塗料の廃液と、溶剤系塗料の廃液を混ぜてしまうと、化学反応による発熱や有毒ガスの発生といった予期せぬ事故を引き起こすリスクが高まります。また、処理に必要なコストが上がる要因にもなります。

保管する際は、ドラム缶やペール缶など密閉性の高い専用の容器を使用し、直射日光の当たらない風通しのよい保管場所を確保しましょう。保管場所には、産業廃棄物である旨や取扱上の注意事項を記した掲示板を設置することが法律で定められています。

塗料成分を固めて分離

次の工程は、集めた廃液から水分と塗料成分を分ける「凝集処理」です。水性塗料の洗浄水には、細かな樹脂や顔料の粒子が水中に分散しています。そこで、廃液に専用の凝集剤(薬品)を加えてかくはんします。すると、水中に分散していた塗料成分が互いに結びつき、大きな塊(フロック)になります。

形成されたフロックは、沈殿または浮上させることで、水と固形分に分離できます。分離後の上澄み液は、中和処理などを行って水質基準を満たしたうえで放流します。一方、残った泥状の固形分は、次の処理工程へ送られます。

脱水と乾燥による減量化

固液分離によって回収された泥状の成分は「汚泥(スラッジ)」と呼ばれます。まだ多くの水分が含まれているため、そのまま廃棄しようとすると重量がかさみ、収集運搬費や処分費が高くなってしまいます。

そこで、フィルタープレスなどの脱水機を用いて、機械的に水を絞り出す作業が行われます。さらに、脱水後の汚泥に熱を加えて乾燥処理を行うことで、容積と重量を大きく減らせます。

処理を適正に進めるポイント

ここでは、正しく処理を進めるために、実務担当者が押さえておくべき運用上のポイントを解説します。

許可を持った委託業者の選定

自社で廃液を完全に処理・処分できない場合は、産業廃棄物処理業者へ委託します。その際に重要なのは、適切な許可を持った業者を選定することです。

廃棄物の収集運搬や処分を委託する場合、自治体から「産業廃棄物収集運搬業」および「産業廃棄物処分業」の許可を得ている業者を選ばなければなりません。廃液が特別管理産業廃棄物に該当する場合は、特別管理産業廃棄物の処理許可を得ている事業者かを確認する必要があります。

無許可の業者に委託してしまった場合、委託した事業者側も「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」という重い罰則を受けることになります。契約前に必ず許可証の有効期限や、取り扱い可能な廃棄物の種類をチェックしましょう。

マニフェストの発行と管理

産業廃棄物の処理を委託する際は、「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」の発行と管理が法律で義務付けられています。マニフェストとは、廃棄物が排出されてから最終処分に至るまでの過程を記録・追跡するための伝票です。

事業者は、廃液を引き渡す際にマニフェストを交付し、収集運搬業者や処分業者から順次送られてくる控えを確認しなければなりません。これにより、不法投棄などの不正が行われていないかをチェックします。

また、発行したマニフェストの控えは、法律によって5年間保管しておく義務があります。近年では、紙の伝票に代わり、データで一元管理できる電子マニフェストを利用する事業者も増えています。

廃液発生量そのものの削減

コスト削減や環境負荷の軽減を目指すためには、発生した廃液の処理だけでなく、そもそも廃液を出さない工夫に取り組むことが重要です。

具体的には、塗料の量を精密に計算して余剰塗料を減らすことや、工具の洗浄方法を見直して少量の溶剤で洗えるようにする手法が挙げられます。

また、洗浄に使用した溶剤や水をろ過して現場で再利用する仕組みを導入することで、廃棄物として排出される液体の量を削減することが可能です。社内全体で省資源の意識を持ち、日々の作業プロセスを見直すことが適正管理につながります。

まとめ

塗料廃液の処理は、法令遵守や環境保護の観点から適切な管理が求められます。水性や溶剤系といった種類に応じた分類をはじめ、現場での分別保管や凝集分離、適正な委託手続きを徹底することが大切です。ルールに基づく運用を継続することが、事業者としての信頼維持につながります。

山本技研工機では、塗料廃液処理で生じる汚泥の減容化に適した各種乾燥機や、スクリューコンベヤなどの搬送機械を設計・製造しております。ドラムドライヤーをはじめとする乾燥設備やプラント機器のオーダーメイドに対応が可能です。廃液処理の効率化や処分コストの削減をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

▼山本技研工機の廃液乾燥
https://www.yamamotogiken-kohki.co.jp/type/waste_liquid.html

▼お問い合わせはこちら
https://www.yamamotogiken-kohki.co.jp/contact.html

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ CONTACT

お問い合わせは、お電話・FAXでも受け付けております。
お気軽にご相談ください。