
ドラムドライヤーとは、液体やペースト状の原料を効率よく乾燥させる産業用乾燥装置です。食品加工から化学工業、さらには排水処理や環境保全の現場まで、幅広い分野で活用されています。
本記事では、ドラムドライヤーの基本的な仕組みや構造をはじめ、代表的な特徴、加熱方式、具体的な用途までわかりやすく解説します。
ドラムドライヤーの基礎知識
ここでは、ドラムドライヤーの基礎知識として、装置の定義や代表的な構造、ドラムを加熱する方式について解説します。
ドラムドライヤーとは
ドラムドライヤーとは、回転する円筒状のドラム(金属製の筒)の表面に液体やペースト状、泥状の原料を薄く付着させ、熱によって乾燥させる産業用乾燥装置です。
ドラムの内部から熱を加えると、表面に接した原料へ熱が直接伝わります。原料に含まれる水分は急速に蒸発し、数秒から十数秒ほどの短時間で乾燥して固形物になります。
食品製造における原料の乾燥・粉末化から、工場における廃液や汚泥の処理まで、液状原料を短時間で固形化したい幅広い場面で活用されています。
代表的な構造パターン
ドラムドライヤーは、ドラムの本数や原料をドラム表面へ付着させる方法によって、いくつかの種類に分けられます。代表的なのが「シングルドラム型」と「ダブルドラム型」です。
シングルドラム型は、1本のドラムを中心に構成されたシンプルな構造です。原料の供給方法には、ドラム下部の槽に原料を満たしてドラムを浸す方式や、上部からスプレーなどで原料を吹きかける方式があります。
一方、ダブルドラム型は、2本のドラムを並列に配置し、互いに向かい合うように設置した構造です。2本のドラムの間に原料を供給すると、ドラムの回転によって原料が表面に広がり、均一な厚みの薄膜を形成できます。
シングルドラム型とダブルドラム型では、原料の供給方法や処理条件が異なります。原料の粘度や性質、求める処理能力などを考慮して、適した構造を選びましょう。
加熱方式の種類
ドラムドライヤーでドラム本体を加熱する方法には、いくつかの種類があります。代表的なのが、ドラム内部に蒸気を通して加熱する「蒸気加熱式」です。
蒸気加熱式は、温度を調整しやすく、安定した熱をドラム全体へ連続して伝えられる点が特徴です。そのため、多くのドラムドライヤーで採用されています。
このほか、熱媒油をドラム内部で循環させる方式や、電気ヒーターを利用する方式もあります。乾燥させる原料の耐熱性や、求める乾燥状態、処理条件などを踏まえて選ぶことが重要です。
乾燥の仕組み
ここでは、原料の投入からドラム表面での乾燥、スクレーパーによる乾燥物の回収まで、ドラムドライヤーの乾燥工程を順番に解説します。
原料の投入から乾燥まで
ドラムドライヤーにおける乾燥プロセスは、液状やペースト状の原料をドラム表面へ供給することからはじまります。回転するドラムに原料を付着させると、表面に薄い膜が形成されます。
表面に広がった原料は、ドラムの回転に伴って加熱されます。含まれている水分が蒸発すると、原料は液状から固形の膜やフレーク状へと変化していきます。
ドラムがほぼ1回転する間に、乾燥から回収までの工程が進むため、原料を連続して処理できる点も特徴です。乾燥後は、ドラム表面から乾燥物を剥離して回収します。
熱伝導による水分蒸発
ドラムドライヤーでは、加熱されたドラムの表面から原料へ熱を伝えることで水分を蒸発させます。熱風を原料に吹きかける方式とは異なり、ドラムと原料が直接接触することですばやく熱が伝わります。
さらに、原料を非常に薄い膜状に広げることも、効率よく乾燥できる理由の一つです。膜が薄いほど原料内部まで熱が伝わりやすくなり、含まれる水分も蒸発しやすくなります。
このように、ドラム表面からの熱伝導と原料の薄膜化によって、原料を短時間で乾燥させます。原料の性質や供給量、ドラムの温度などを調整すれば、目的に合わせた乾燥条件も設定可能です。
乾燥物の掻き取り工程
原料の乾燥が進んだところで、ドラム表面に付着した乾燥物を取り除きます。ここで使われるのが、「スクレーパー」と呼ばれるナイフ状の部品です。
スクレーパーはドラム表面に沿うように設置されており、乾燥してシート状や皮膜状になった原料を表面から剥がします。剥離された乾燥物は、必要に応じて粉砕機やスクリューコンベヤなどの後工程へ送られ、パウダー状やフレーク状に仕上げられます。
乾燥物を掻き取ったドラムには、再び新しい原料が付着します。この工程を繰り返すことで、原料の供給から乾燥、掻き取り、回収までを連続して行えます。
ドラムドライヤーのメリット
ここでは、ドラムドライヤーを導入することで得られる代表的な3つのメリットを解説します。
高い熱効率と省エネ性
ドラムドライヤーのメリットの一つは、熱エネルギーを効率よく利用できる点です。大量の空気を加熱して排気する熱風乾燥機とは異なり、加熱したドラムから原料へ直接熱を伝えるため、投入したエネルギーを無駄なく乾燥に活用できます。
さらに、短時間で乾燥処理が完了することから、運転に必要なエネルギー自体の削減も可能です。エネルギー価格の高騰が課題となるなか、乾燥工程の消費エネルギーを抑えることは、工場全体の省エネや生産コストの削減、ひいては環境負荷の低減にも大きく貢献します。
熱に弱い原料への対応力
ドラムドライヤーは、原料を短時間で加熱できるため、熱による品質変化を抑えたい場合にも利用されています。ドラム表面は高温になりますが、原料が接している時間は短く、長時間の加熱による成分の変化や色、風味への影響を抑えながら乾燥できます。
食品分野では、風味や栄養成分をできるだけ維持したい原料の乾燥に適しています。化学工業でも、熱による分解や変質を避けたい原料に利用されています。
均一な品質での連続処理
ドラムの回転速度や表面温度、原料の供給を適切に管理することで、一定の条件を保ちながら連続して原料を処理できます。原料の投入から乾燥、回収までを一連の工程として進められる点も特徴です。
処理条件が安定していれば、乾燥物の水分量や仕上がりにもばらつきが出にくくなります。液体やペースト状の原料を一定のペースで大量に処理する工程にも適しています。
さらに、自動制御システムを組み合わせれば、温度や回転速度、原料の供給量などを継続的に管理できます。作業者の操作によるばらつきを抑えられるため、安定した運転と省力化につながります。
このように、ドラムドライヤーは乾燥効率だけでなく、連続処理による生産性の向上や、運転管理の負担軽減にも役立つ装置です。
ドラムドライヤーの用途
ここでは、ドラムドライヤーが実際にどのような場面で使われているのか、主な3つの分野に分けて紹介します。
食品分野での活用
食品業界では、液体やペースト状の食材を乾燥させ、粉末やフレーク状の製品に加工するためにドラムドライヤーが利用されています。代表的な例として挙げられるのが、加熱調理したジャガイモを乾燥させて作るフレーク状のマッシュポテトです。乾燥による風味や品質への影響を抑えられるため、離乳食や粉乳、粉末果汁などの食品原料の加工にも活用されています。
また、乾燥物を水に戻したときの復元性(リハイドレーション性)にも特徴があります。水分を加えることで元の状態に近づけやすいため、調理や加工の際に再び液状・ペースト状に戻して使用する食品にも適しています。
化学や薬品分野での利用
化学工業や製薬分野では、液状の原料を乾燥・固形化する工程でドラムドライヤーが活用されています。具体的には、合成樹脂の原料液、各種化学薬品、工業用洗剤などの製造工程が挙げられます。
これらの分野では、製品の品質を安定させるため、乾燥条件を適切に管理することが必要です。ドラムドライヤーは連続処理に対応しており、条件を管理しながら乾燥できるため、一定の品質で製品を生産したい工程に利用されています。
また、有機溶剤を含む原料を扱う場合は、防爆仕様の装置や溶剤回収設備などを組み合わせることもできます。
産業廃棄物や廃液の処理
ドラムドライヤーは、製造工場や排水処理施設などで発生する廃液や汚泥の減量化にも利用されています。工場から排出される汚泥や、濃縮されたメッキ廃液、塗装廃液などには、多くの水分が含まれている場合があります。
これらの廃液や汚泥を乾燥させることで、水分を除去し、重量や体積を減らせます。廃棄物の量が減れば、保管スペースを抑えられるほか、収集運搬や処分にかかるコスト削減にもつながるでしょう。
まとめ
ドラムドライヤーの導入にあたっては、処理する原料の性状や必要な処理量に応じた最適な仕様を見極める作業が大切です。シングルドラムやダブルドラムといった構造パターンをはじめ、蒸気などの加熱方式を適切に選定することが、乾燥工程の効率化や運用コスト削減へつながります。
山本技研工機では、食品や化学薬品の乾燥から各種産業廃液・汚泥の減容化まで、多種多様なニーズに対応するドラムドライヤーをオーダーメイドで設計・製造しています。お客様の原料に合わせた最適な乾燥設備の選定や、各種搬送機械を含めたプラント全体の設計にも柔軟に対応いたします。乾燥工程の効率化や処理コストの削減をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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